tesoro〜メキシコ刺繍・メキシコ雑貨を中心に世界の刺繍や織物、伝統工芸品を販売するエスニックなお店〜 は、現在準備中です。
2020/12/25 15:34

「メキシコ刺繍ワンピースという魅力的な世界への誘い」と題しまして、数多く存在するメキシコ刺繍の中から、ファンも多く、魅力溢れる伝統的な5種類の刺繍の歴史や特徴と魅力、そのアイテムを、複数回にわたりご紹介してゆきます*
『オトミ刺繍』一度みたら忘れないキュートなデザインとカラフルで美しいグラデーション

『オトミ刺繍』とは、メキシコの北東に位置するイダルゴ州はテナンゴ地方の山間部に居住してきたオトミ族という部族の間で代々受け継がれてきた刺繍柄のことを指しています。そして、この地域にあるサンニコラス村は『オトミ刺繍』の発祥地とも言われております。カラフルな糸で様々な動物や花を表現したオトミ刺繍は、「最もメキシコらしい刺繍」として世界中で有名なんです。
『オトミ刺繍』がつたわるここイダルゴ州は、メキシコの州の1つで、首都メキシコシティから北東、車で約5時間ほどに位置する、人口2百万人を超える地域です。
ちなみに、イダルゴ州の名はメキシコ独立指導者のミゲル・イダルゴにちなんで名付けられています。
主な産業は、主に農業が中心ですが、州南部の都市トゥーラや中部のウィチャパンなどには、石灰石が採取できる鉱山があり、現在でもセメント産業が盛んな地域だそうです。そんな地域で育まれてきたこの『オトミ刺繍』、今なお、女性達の手刺繍によって生産されています。メキシコを代表するフォークアート、メキシコ刺繍のひとつで、とても人気の高いおみやげでもあります。大きな作品を手掛けるアーティストの作品はメキシコの国立博物館などにも展示がされているようです。また、過去には、エルメスがその美しいデザインに注目し、商品開発を行ったことで、その名は一気に世界に広まったといいます。
「オトミ刺繍」 3つの特徴
神秘的なデザイン・カラフルな色合い・独自の刺繍技術
『オトミ刺繍』の特徴といえば、大きく以下の3つではないでしょうか。
① 小鳥や花をモチーフにしたキュートでかわいらしいデザイン
② あざやかな色とりどりのあざやかなグラデーションの配色
③ 独自の刺繍技術
ひとつひとつ見てゆくことにしましょう。
② あざやかな色とりどりのあざやかなグラデーションの配色
③ 独自の刺繍技術
「オトミ刺繍」の特徴①
小鳥や花をモチーフにしたキュートでかわいらしいデザイン

カラフルな糸で様々な動物や花を表現した『オトミ刺繍』は、「最もメキシコらしい刺繍」として世界中で有名です。
『オトミ刺繍』は、マンタと呼ばれる白い布に、カラフルな糸で、小花・小鳥・うさぎなどの様々な動物や花が刺繍されています。
地域の神話にも登場する、この様々な生き物のモチーフは、オトミ族の住む地域で見ることのできる動物や植物なんです。
この地域に古くから伝わってきた岩絵・切り絵・刺繍・布づくりのデザインとして多く登場することからも、自然とともに暮らしてきたオトミ族の自然への畏敬の念が込められているように感じます。
オトミ族は山間部にあるこの小さな村で、地域に古くから伝わる岩絵に描かれた植物や動物のモチーフと刺繍の技術を活かして製品を作ることを生業の一つにして暮らしてきました。
刺繍された想像上の生き物や時に登場する人物の表情を眺めながら、そこにどのような作り手の想いが込められているのでしょうか、そんなことを想像していると、とてもワクワクしてきます。
この地域に古くから伝わってきた岩絵・切り絵・刺繍・布づくりのデザインとして多く登場することからも、自然とともに暮らしてきたオトミ族の自然への畏敬の念が込められているように感じます。
「オトミ刺繍」の特徴②
一度見たら忘れられない、唯一無二の色鮮やかなで独創的なグラデーション
メキシコといえば、色とりどりのカラフルな色使い、このオトミ刺繍もその点ではメキシコらしいデザインといえますが、
なんといっても、”一度見たら忘れられない、唯一無二の色鮮やかなで独創的なグラデーション” は、見る人を惹きつけてやまないオトミ刺繍の魅力なのではないでしょうか。
この独特の配色、実はいつくかのパターンがありますのでご紹介しますね。
【一般的なオトミ刺繍】
①カラフル配色
うさぎや鳥、花がデザインされた”カラフルな”デザインで、もっともよく市場で見かけられます
②単色のもの(ベッドカバーサイズ)
実は単色のものもあります。カラフルな物よりも取り入れやすくインテリアとしても人気です。
【少しレアなオトミ刺繍】
③2色配色
2色のみで刺繍されたものです。基本的に、オトミ刺繍はカラフルなものと単色のものがほとんどで、数色のみで刺繍されたものは珍しいです。
④同系色のグラデーション
同系色のグラデーションは、ありそうでないレアなデザインです。
“tesoro” でもわずかですが取り揃えがございます!
【その他のデザイン】
⑤黒地の刺繍
オトミ刺繍は基本的に白地なものが殆どで、このように黒地のものは非常に珍しいです。
⑥アーティスト作品
定番の花・小鳥の他にも、人間・神話に登場する動植物など、クリエイティブにデザインされたもはやアート作品。
巨大なサイズで、数カ月にもわたって制作されるため、コレクターの間でも価値が高く、中には博物館などにも展示されたりします。
「オトミ刺繍」の特徴③
独自の刺繍技術
オトミ刺繍のもう一つの特徴は、その一風変わった刺繍技術です。
メキシコ産の風合いのよいマンタという白い綿布に図案を描き、塗り絵のように隙間なく刺繍が縫い込まれてゆきます。
オトミ刺繍で使われているのは、刺繍でも基本技術である「サテンステッチ」という製法ですが、裏側を見てみると、ただのサテンステッチではないことがわかります。
なんと、オトミ刺繍では、使用する糸量の節約のため、表側にのみ糸が出る特別なサテンステッチで刺繍されます。
膨大な量の刺繍糸を使うため、裏側には刺繍糸を出さず、きれいに表だけに刺繍がされます。
また、裏側からも刺繍のデザインがよくわかるようになっています。
現地の女性達による手刺繍で、ひとつひとつ時間をかけて丁寧に作られており、一針一針丁寧に手で刺していくと、1メートル四方の刺繍で3~4か月もの時間かかるそうです。
ベッドカバーのような大作は、時に1年ほどの時間をかけて制作させることもあるようです。気の遠くなるような作業ですね。
『オトミ刺繍』のコーディネート
メキシコらしいカラフルな色使いのオトミ刺繍ですが、インテリアに取り入れやすい単色の大判サイズの刺繍も人気だそうです。しかし大きくなるほど制作時間がかかるので、あまり出回らないとのことでした。
面積の大きなアイテムなので、お部屋のイメージをガラリと変えてくれます。
(おまけ)オトミ刺繍の目利き、2つのポイント
1つめのポイント~裏側が美しい刺繍は、刺繍の目は詰まっていて美しいものが多い
オトミ刺繍は、一見すると表生地のカラフルで美しいグラデーションが目を惹きますが、より美しいものを見つけたいときは裏側を見るのがおすすめです!
前述の通り、裏側をみると、刺繍がどれだけ丁寧にされているかが一目でわかります。
絵柄のフチどりの部分だけに糸が出ていて表地のデザインがよくわかるものは、表生地の刺繍もきれいに表現されているはずです!
2つ目のポイント~目の詰まり具合をみる
こちらの前述のとおりですが。現地市場で買い付けをしていると、糸を節約するためなのか隙間がおおくとられて刺繍されているものもたまに見受けられます。
しっかりと目が詰まって刺繍されたもの方が、糸の張りもよくデザインも長持ちします!
今回はここまでです!
▼『オトミ刺繍』 ~一度みたら忘れないキュートなデザインとカラフルで美しいグラデーション~
をお届けしました!
刺繍された想像上の生き物や時に登場する人物の表情を眺めながら、そこにどのような作り手の想いが込められているのでしょうか?
そんなことを想像していると、とてもワクワクしてきます!
これまたなんともロマンチックで、これからもずっと大切にしてゆきたい伝統でしたね!
